自然界の動植物は、細菌やウイルスなどの微生物と共生し、お互いに作用しながら生きていますが、このような共生する微生物を排除して無菌生物を作り出し、新たに既知の細菌や微生物を定着させた動植物をノートバイオート(gnotobiote)と呼びます。すなわち、ノートバイオロジー(Gnotobiology)とはノートバイオート、つまり既知の微生物を感染させた生物を用いた学問体系を意味しています。その対象は極めて多岐にわたり、医学、理学、農学、薬学、歯学、栄養学、獣医学、繊維学等で広くノートバイオロジーが研究されています。
日本無菌生物ノートバイオロジー学会(Japanese Association of Germfree Life and Gnotobiology:JAGG)は1968年に設立され、初代理事長として名古屋大学医学部病理学講座の宮川 正澄教授が就任されました。上述の如く、本研究領域ではノートバイオートを用いて基礎医学、臨床医学、栄養学、薬学、農学、獣医学および繊維学などの様々な学術的観点から解析が行われ、極めて学際的な学術領域であるという特徴をもちます。
本学会では毎年1回学術総会が開催され、異なる専門領域を有する多数の研究者が集い、最新の研究成果が発表されます。また本学術総会での発表内容を基にして編集された学会誌「無菌生物」が定期的(年2号)に発行されています。本学会会員のバックグラウンドは多岐にわたり、本学会での学術活動を通じて学際的な研究が進み、その研究成果は微生物学、病理学、血液内科学、感染症学、口腔保健衛生学、獣医感染症学、農芸化学、分子生物学などの領域に反映されてきました。
1981年、米国ノートバイオロジー学会(Association for Gnotobiotics:AG)、欧州ノートバイオロジー学会(European Gnotobiotics Association:EGA)および本学会の連携により国際ノートバイオロジー学会(International Association for Gnotobiology:IAG)が結成されました。IAGでは3年ごとに世界の各国において国際ノートバイオロジーシンポジウム(International Symposium on Gnotobiology:ISG)が開催されています。
近年、宿主に共生する常在細菌叢(フローラ)に関する科学的関心が高まり、無菌生物が関与する科学領域は極めて多岐、広汎にわたっており、今後ノートバイオートを活用した学術研究活動の進展が大いに期待されています。本学会での学術研究活動の成果を関連領域に有効に還元していくとともに、多方面においてノートバイオロジー研究に従事している研究者と連携して我が国のノートバイオロジー研究の推進役として貢献していけるよう努力する所存です。ノートバイオロジーについて興味をもたれている方々の本学会へのご参加をお願いする次第です。
2016年5月
本会は無菌生物学およびノートバイオロジーの進歩ならびに普及をはかりこれを通じて学術・社会の発展に寄与することを目的とする。
本学会の主な活動内容は以下の通りである。
日本無菌生物ノートバイオロジー学会として1968年1月設立されました。当時の会長は宮川 正澄先生(名古屋大学教授)でした。その後会長から理事という名称に変更になり、1993年1月に佐々木 正五先生(東海大学教授)に引き継がれました。現在は、神谷 茂理事長(杏林大学名誉教授)です。
回 | 年 | 会長 | 開催地 |
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1 | 1968 | 宮川 正澄 | 名古屋 |
2 | 1969 | 藤原 章夫 | 仙台 |
3 | 1970 | 橋本 美智雄 | 福岡 |
4 | 1971 | 飯島 宗一 | 東京 |
5 | 1972 | 古武 弥人 | 神戸 |
6 | 1973 | 峰下 銕雄 | 大阪 |
7 | 1974 | 勝沼 信彦 | 徳島 |
8 | 1975 | 岩田 和夫 | 東京 |
9 | 1976 | 螺良 義彦 | 大阪 |
10 | 1977 | 谷田沢 道彦 | 名古屋 |
11 | 1978 | 橋本 紀三 | 福岡 |
12 | 1979 | 佐々木 正五 | 伊勢原 |
13 | 1980 | 千田 信行 | 大阪 |
14 | 1981 | 山中 太木 | 宝塚 |
15 | 1982 | 服部 絢一 | 金沢 |
16 | 1983 | 内田 久雄 | 東京 |
17 | 1984 | 榊原 文作 | 神戸 |
18 | 1985 | 代田 明郎 | 東京 |
19 | 1986 | 合田 朗 | 横浜 |
20 | 1987 | 永井 清保 | 神戸 |
21 | 1988 | 木村 修一 | 仙台 |
22 | 1989 | 柴田 昭 | 新潟 |
23 | 1990 | 橋本 一男 | 箱根 |
24 | 1991 | 正岡 徹 | 大阪 |
25 | 1992 | 光岡 知足 | 東京 |
26 | 1993 | 宮崎 保 | 札幌 |
27 | 1994 | 鷲見 幸子 | 名古屋 |
28 | 1995 | 堀内 篤 | 大阪 |
29 | 1996 | 宇野 裕 | 名古屋 |
30 | 1997 | 下山 孝 | 神戸 |
31 | 1998 | 神谷 茂 | 箱根 |
32 | 1999 | 平野 正美 | 名古屋 |
33 | 2000 | 小澤 敦 | 東京 |
34 | 2001 | 垣下 榮三 | 神戸 |
35 | 2002 | 松原 藤好 | 京都 |
36 | 2003 | 小寺 良尚 | 名古屋 |
37 | 2004 | 田爪 正氣 | 横浜 |
38 | 2005 | 金丸 昭久 | 大阪 |
39 | 2006 | 駒井 三千夫 | 仙台 |
40 | 2007 | 加藤 俊一 | 横浜 |
41 | 2008 | 池田 雅充 | 神戸 |
42 | 2009 | 平岡 諦 | 大阪 |
43 | 2010 | 落合 邦康 | 東京 |
44 | 2011 | 今村 雅寛 | 札幌 |
45 | 2012 | 小山 博之 | 岐阜 |
46 | 2013 | 安藤 潔 | 伊勢原 |
47 | 2014 | 田口 晴彦 | 東京 |
48 | 2015 | 一戸 辰夫 | 広島 |
49 | 2016 | 磯貝 恵美子 | 仙台 |
50 | 2017 | 神谷 茂 | 東京 |
51 | 2018 | 芦田 隆司 | 大阪 |
52 | 2019 | 伊藤 守 | 川崎 |
53 | 2020 | 田中 淳司 | 東京 |
54 | 2021 | 平山 和宏 | 東京 |
55 | 2022 | 白川 仁 | 仙台 |
56 | 2023 | 鬼塚 真仁 | 伊勢原 |
57 | 2024 | 高橋 志達 | 東京 |
第1条 (名称) | 本会は日本無菌生物ノートバイオロジー学会(Japanese Association of Germfree Life and Gnotobiology)といい、略称を日本無菌学会(JAGG)という。 |
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第2条 (事務所) | 本会の事務所は川崎市川崎区殿町3-25-12 公益財団法人実中研におく。 |
第3条 (目的) | 本会は無菌生物学およびノートバイオロジーの進歩ならびに普及をはかりこれを通じて学術・社会の発展に寄与することを目的とする。 |
第4条 (事業) | 本会は前条の目的を達成するためにつぎの事業をおこなう。
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第5条 (会員) | 本会々員を正会員、学生会員、特別会員、名誉会員、Honorary Memberおよび賛助会員とし、正会員、学生会員および名誉会員は国際無菌学会の会員となる。入会は所定の入会申込と会費の納入により、退会は届出による。 |
第6条 (役員) | 本会に次の役員をおく。 理事長(議長)1名、副理事長(副議長)4名、常任理事 若干名、 (うち庶務幹事 1名、会計幹事 1名、編集幹事 若干名)、 理事 若干名、監事 若干名、評議員 若干名、顧問 若干名 |
第7条 (会費) | 本会の会費は正会員は年5,000円、学生会員および特別会員は年1,000円、賛助会費は一口30,000円とする。3年間会費未納の場合は退会とする。 |
第8条 (総会) | 本会は毎年1回会長のもとで総会を開く。 |
正会員 | 138名 |
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名誉会員 | 3名 |
特別会員 | 1名 |
Honorary Members | 6名 |
常任理事 | 10名 |
理事 | 15名 |
監事 | 2名 |
評議員 | 21名 |